システム統合アーキテクチャ・BACnet/IP 比較対照・オブジェクトマップ・リアルタイムシミュレーター & デバッグ手順
1. RAPIX Zone Controller システム構成
メッシュによる情報共有 & BACnet/IP 接続構成
RAPIX Zone Controller は、RAPIX Integrator で指定したコントローラーが BACnet サーバーとして動作します。Zone Controller 同士はメッシュを形成してゾーンやシーンの情報を共有し、BACnet クライアントは通常、単一のコントローラーへの接続でシステムの主要な情報を取得できます。
ゾーン・シーンなどシステムの多くの情報は、単一の Zone Controller に BACnet/IP 接続することで取得・制御できます。個々の DALI デバイス詳細が必要な場合は、該当する各 Zone Controller への接続が必要です。
個々の DALI デバイス詳細(DALI Unit Objects)が必要な場合は、該当する個別の Zone Controller へ直接接続する必要があります。不要な有効化は通信負荷を高めるため最小限に留めます。
公式 APN-RAPIX-027 に準拠した直接ソケット接続(既定ポート: 47808)。
定常ポーリングを削減し、状態変化時に通知を行う CoV(PICS: DS-COV-B)の活用を推奨。
Zone Controller の CPU 負荷が増加した場合、特に負荷が 20% を超えて増加したときは、ポーリング頻度を下げることが推奨されています(CPU使用率が単純に20%を超えたら、という意味ではありません)。
設計時のポイント
- BACnet サーバーとして応答させる Zone Controller を RAPIX Integrator 上で明示的に指定します。
- 可能であれば、最も IP アドレスが小さい Zone Controller を BACnet サーバーに指定することは避けます。公式資料では、このコントローラーは “master” として扱われ、他のコントローラーより負荷が高くなる可能性があると説明されています。
- BACnet システム内で Object ID が重複しないように設定します。実際のインスタンス番号と Object ID は RAPIX Integrator の設定・生成結果を確認してください。
2. 一般構成 vs RAPIX Zone Controller の比較
DALI-2 to BACnet (一般構成) と RAPIX DALI-2 仕様の整理
DALI と BACnet を統合する一般的な構成の一例として、BMS と DALI コントローラーの間に専用プロトコルゲートウェイ (Gateway) を配置する方式があります。一方、RAPIX では、設定した Zone Controller が BACnet サーバーとして動作するため、別体の BACnet 変換ゲートウェイを追加せずに統合できます。構成や必要機能は機器・設定条件に応じて確認してください。
【パターン A】独立ゲートウェイ型
【パターン B】RAPIX Zone Controller 構成
一般構成 と RAPIX DALI-2 の比較
| 比較項目 | 一般的 | RAPIX DALI-2 Zone Controller |
|---|---|---|
| 変換レイヤーの扱い | 専用のハードウェア翻訳器 (Protocol Gateway) を配置し仲介。 | Zone Controller が直接 BACnet/IP サーバーとして動作(独立変換器不要)。 |
| トポロジー & 情報共有 | 専用ゲートウェイを介する構成など、製品・設計によって異なる。 | Zone Controller 同士がメッシュでゾーン/シーン情報を共有。主要データは通常1台への接続で取得可能。 |
| オブジェクト露出 & 負荷対策 | 全 DALI デバイスの無制限露出によるトラフィック急増を警戒し集約。 | ゾーン/シーンを基本とし、個別 DALI Unit Objects は選択オプション。無駄な通信負荷を抑制。 |
| 通信最適化 (CoV) | ポーリング負荷削減のため CoV レポートの活用を推奨。 | PICS にて DS-COV-B 対応。定期ポーリングより CoV 通知の優先利用を推奨。 |
3. BACnet オブジェクト一覧
公式 APN-RAPIX-027 記載の基本オブジェクトと既定インスタンス構造
| RAPIX アイテム | BACnet オブジェクト | Present Value / 用途 | 既定インスタンス | 既定 Object ID |
|---|---|---|---|---|
| Zone Controller 1 | Device (8) | 該当なし (機器本体) | 1 |
33554433
0x02000001
|
| Zone 1 | Analog Value (2) | ゾーン目標レベル(選択スケール依存) | 1 |
8388609
0x00800001
|
| Operating Property 0 | Analog Value (2) | Operating Property の設定値 | 1000 |
8389608
0x008003E8
|
| ZC 1, Line 1, Device 0 | Analog Value (2) | DALI 出力ユニットの目標レベル | 2000 |
8390608
0x008007D0
|
| Scene 1 | Binary Value (5) | シーン状態(1 = アクティブ) | 1 |
20971521
0x01400001
|
| Flag Group 0, Flag 0 | Binary Value (5) | フラグ状態(1 = セット) | 1000 |
20972520
0x014003E8
|
4. ゾーンレベル・色制御シミュレーター
選択した Zone Level Range に応じた BACnet Present Value の換算プレビューです。
参考表示:IEC 62386-102 の対数調光カーブに基づく計算値です。たとえば DALI Level 86 は約 1.018% に相当します。実際の光出力は器具・ドライバーなどの特性にも依存します。
5. Zone Error Status ビット判定計算機
該当する故障状態にチェックを入れると、BACnet で送出されるエラービットフィールド値をリアルタイム算定します。
すべてのビットが 0 です。
6. システム設定 & 通信テスト手順 (YABE / Wireshark)
RAPIX Integrator での設定手順から BACnet ツールでの動作確認方法
■ RAPIX Integrator 基本設定手順
-
1
RAPIX Integrator の起動 & サイト選択
エンジニアリングツールを起動し、対象プロジェクトの Site タブを開きます。
-
2
BACnet 機能の有効化
サイト設定メニュー内で BACnet 統合オプション(UDP) を有効(Enabled)にします。
-
3
通信パラメータの設定
BACnet Server に指定する Zone Controller、UDP ポート番号 (既定: 47808)、DALI Unit Objects の有効化有無、Zone Level Range スケール(0-100, 0-254等)を設定します。
-
4
設定の転送 (Transfer Configuration)
設定データを Zone Controller へ転送します。完了後、指定 UDP ポートで BACnet サービスの受動待機が開始されます。
TEST 1 YABE (Yet Another BACnet Explorer)
Windows用ツールC:\Program Files\Yabe\Proprietary-properties.csv を編集し独自プロパティを登録します。
Options メニューで Show Property ID Numbers = True に変更します。
「+」アイコンをクリックしPCのIPを指定して Start を押し機器を探索します。
TEST 2 Wireshark パケット解析
ネットワーク解析ip.addr == [Zone ControllerのIP]
UDP パケットを右クリック → Decode As... を選択します。
Current 列を BVLC (BACnet Virtual Link Control) に切り替えます。
📄 公式技術仕様(PICS)適用概要
資料・適用条件
- APN-RAPIX-027 — Using RAPIX with BACnet(PDF):構成、オブジェクト、設定値、PICS の一次資料。
- RAPIX Software・Firmware Release Notes:導入する機器の対応ファームウェアと既知の変更点。
- ASHRAE BACnet Standard 135 リソース:BACnet 規格関連資料。
本ページは資料に基づく技術解説と確認手順です。特定の実機・ファームウェア構成での検証完了を示すものではありません。導入前に、対象機種・ファームウェア・RAPIX Integrator の設定を資料と照合し、実機および BMS 側で動作確認してください。