技術解説ガイド
位相制御調光の基礎とDALIシステムでの制御方法
位相制御(Phase Dimming)の仕組みとLED・DALI統合のポイント
01. 位相制御調光の基本原理
位相制御調光(Phase Cut Dimming)は、交流(AC)電源の波形(サイン波)の「一部をカットする」ことで負荷へ供給する平均電力を変化させ、明るさを調整する調光方式です。
位相制御 (Leading Edge)
TRIAC方式別名:Forward Phase / Rising Edge
- 交流のゼロクロス点(0V)から少し遅れて通電を開始(オン)する。
- 主にトライアック(TRIAC)素子を使用。
- 白熱電球や誘導性負荷に適している。
- 急激な立ち上がりによりLED回路で騒音やチラツキの原因になる場合がある。
逆位相制御 (Trailing Edge)
MOSFET方式別名:Reverse Phase / Falling Edge
- ゼロクロス点から通電を開始し、半周期の途中で切断(オフ)する。
- 主にMOSFET素子を使用。
- ノイズやスパイク電流が発生しにくく、LED照明に最適。
02. LED照明で使用する際の注意点
白熱電球は熱慣性により単純な電力削減でスムーズに調光されますが、LEDランプおよびLEDドライバーは「受け取った電力パルスから明るさを解釈」して駆動します。このため、以下の現象(不具合)が発生することがあります。
不感帯(デッドバンド / Dead-band)
つまみや調光信号を操作しても、明るさが変化しない範囲。調光の上限側(Top-end)や下限側(Bottom-end)で発生しやすくなります。
チラツキ(Flicker) / 早期消灯
通電時間(Conduction Time)がLEDドライバーの最小動作限界を下回ると、制御回路の電源が維持できなくなり、点滅や予期せぬ消灯を引き起こします。
人間と視覚の特性 ログ(対数特性) vs リニア(線形特性)
人間の目は光の減少に対して対数的な反応を示します(物理的な光量が10%に低下しても、人間には50%程度の明るさに感じられる)。DALI標準の「ログカーブ」を使用することで、人の感覚に合わせたスムーズな調光が可能になります。
03. DALIシステムで位相調光器具を制御する方法
近年の照明プロジェクトでは全体の95%程度がDALI対応機器で構成されますが、特定意匠の器具などで「位相調光専用」の機器が含まれるケースがあります。これらをDALI制御ラインに組み込む最もスマートな解決策は以下の通りです。
解決策:RAPIX DALI-2 位相調光コントローラーの採用
RAPIX DALI 位相制御 のような高品質なDALI位相調光コントローラーを使用します。
- 直接接続:コントローラーを直接DALIライン上に他のDALI機器と並列で接続します。
- 中性線(Neutral)不要:コントローラー側に中性線を配線する必要がなく、施工が容易です。
- 制御:100V AC(商用電源)のラインLとLED負荷側に接続することで、位相調光器具のオン/オフおよび調光をDALIコマンド経由でシームレスに行えます。
この表は、10% までしか調光できない 位相器具のDALIレベル 170 であり、非常に大きな下限デッド バンドが存在することを示しています。
DALIレベル 明るさ % 86 1 111 2 145 5 170 10 196 20 229 50 254 100 RAPIXのDALI-2位相調光コントローラーは、レベルスケーリング機能により滑らかな調光が実現できるようになりました。 照明の最小値と最大値を適切に設定・調整することで、調光時に反応しない範囲(デッドバンド)を完全になくし、0.1%まで調光できるDALI電源と同じタイミングで消灯する、非常に滑らかな調光が可能になりました。
要点まとめ
- ✓LED照明には、スパイクやノイズが少なく波形が滑らかな逆位相制御が推奨されます。
- ✓調光器とLEDドライバーの適合性により「不感帯」や「チラツキ」が起きるため、信頼性の高いデバイス選定が重要です。
- ✓DALI環境に位相調光器具を混在させる場合は、DALIラインに直接接続できる位相調光コントローラーを使用することで、既存のDALIシステムに統合可能です。
- ✓RAPIX DALI-2 位相調光コントローラーは、 DALI システム向けの最先端の位相調光ソリューションです。
- この製品は DALI-2 に準拠しており、DALI の調光範囲は 0.1% ~ 100%* です。この DALI 位相調光コントローラーは、デッドバンドが最小限で位相調光伝導角の範囲が広い、高品質位相調光器です。