DALI 基本理論 (DALI Basic Theory)
DALI照明制御システムの概要と基礎知識
目的
DALI (Digital Addressable Lighting Interface) の基礎を導入・解説することを目的としています。受講により以下の理解を深めることができます:
- DALIとは何か (定義とオープン標準規格)
- DALI規格への準拠 (DALI-2および認証制度)
- DALI製品の種類 (インフラ、制御ギア、制御デバイス、アプリケーションコントローラー)
- 電気配線・施工方法 (ケーブル要件、電源供給)
- 安全と電気的絶縁 (基本絶縁の取り扱いと注意点)
- 通信の仕組み (電圧レベル、シグナリング、マンチェスター符号)
1. DALIとは何か? & 規格準拠
DALI (Digital Addressable Lighting Interface) は、照明機器の制御を可能にする配線およびソフトウェアシステムです。
- 国際標準規格: IEC Standard (IEC 62386-10x および IEC 62386-2xx) として公開されています。
- オープンシステム: ベンダーロックインのないオープンな相互運用性を備えています。
- 認証管理組織: Digital Illumination Interface Alliance (DiiA) / DALI Alliance が認定・管理しています。誰でも公式Webサイト (dali-alliance.org) で認証製品データベースを検索可能です。
適合製品 (Compliant Products) に関する注意点
- DALI-2 認証: 規格に適合した機器は認証または登録されます。DALI-2製品はより厳格で複雑な試験を通過しています。
- 安価なDALI製品への注意: 旧来のDALIマークのみの製品でも問題ない場合がありますが、非適合製品にロゴが付けられているケースもあります。
- 「DALI Compatible (DALI互換)」表記の回避: 公式認証を受けていない「DALI互換」製品は、正常に動作しない可能性があり、現地での原因追及に多大な時間を無駄にするリスクがあります。
2. DALI製品の4つの分類
DALIシステムを構成する製品は、大きく以下の4つのカテゴリに分かれます:
①インフラ機器
Infrastructure Devicesシステム全体を動作させるために必要なDALI BUS、配線、コネクタ(DALIシステムを稼働させるために必要なもの)、およびコミッショニング(初期設定・調整)に使用するインターフェース装置など。
②制御ギア
Control Gear電気負荷を制御する装置。LED電源、リレー、位相調光器などが該当します。光源や負荷に直接電力を供給・制御します。
③制御デバイス
Control Devices (Input Device)人やセンサーからの入力をシステムに与える機器。壁面スイッチ、押ボタン、人感センサー、照度センサーなどが含まれます。(DALI-2で規格化)
④アプリケーションコントローラー
Application Controllers制御デバイスからの入力を判断し、制御ギアへ指令を出力する頭脳。単体機器のほか、スイッチやセンサー等に内蔵されている形態(組み込み型)もあります。(DALI-2で規格化)
3. 制御ギア (Control Gear) のアドレス管理
- 最大接続数: 1つのDALIライン上に最大64台の制御ギアを接続できます。
- 個別アドレス (0 ~ 63): 各制御ギアは個別のアドレスを持ち、個別に制御可能です。
- グループアドレス: 最大16個のグループアドレスに所属させることができます。
- ブロードキャスト: ライン上の全機器に対して一括で指令を送ることも可能です。
設計時の重要推奨事項
1つのDALIラインあたりの制御ギアは最大50台までに抑えることを強く推奨します。建物の寿命期間中に電気設備の変更や拡張が必ず発生するため、将来の予備容量を確保しておくことが不可欠です。
1つのDALIラインあたりの制御ギアは最大50台までに抑えることを強く推奨します。建物の寿命期間中に電気設備の変更や拡張が必ず発生するため、将来の予備容量を確保しておくことが不可欠です。
4. 電気配線仕様 (Electrical Wiring)
| 項目 | 仕様・推奨事項 |
|---|---|
| 使用ケーブル | 通常の商用電源ケーブル (100V/200V用) を使用可能。ツイストペア線は不要。 |
| 呼称 | 「DALIライン (DALI LINE)」と呼びます。 |
| 電源線との離隔 | 商用電源配線からの隔離・分離 (Segregation) は不要。同管内に収められます。 |
| 電線断面積 | 1.5 mm2 以上を推奨 |
| 最大配線長 | 1ラインあたり最大 300m。(現場トラブルを防ぐため「限界300m」のルールを徹底してください) |
| 配線 | 送り配線(デイジーチェーン)、スター配線が可能。 ※ループ は禁止です。通信できなくなります。 |
5. DALI BUSおよび消費電流
DALI BUSの設置
- すべてのDALIラインには、専用のDALI BUS (DALI Power Supply) が必要です。(独立した機器、または内蔵型)
- 並列接続時の注意: 極性を正しく確認し、電源同士が並列接続に対応しているか確認してください。
- 最大電流制限: DALIライン上の電源供給能力は絶対最大 250mA を超えてはなりません。許容差を考慮し、実質は 240mA以下に抑えてください。
- 配置位置: 可能であれば、DALI電源はラインの「中央」に配置すると、端部への電圧降下を最小限に抑えられます。
デバイスの消費電流と予備容量
- 制御ギア(LED電源): 通常、DALIラインから最大 2mA を消費します。(※規格外の安価な製品ではそれ以上消費するものがあるため要確認)
- 制御デバイス(インプットデバイス)・その他: 機器によって消費電流が異なります。製品の仕様書・マニュアルで確認し、手動で合計電流を計算してください。
- 予備容量の確保: DALI電源能力には約20%の予備容量 (240mAの場合は約 40mA の余裕) を残す設計を推奨します。
商用電源誤接続に対する耐性 (Mains Tolerance)
現場施工時のミスにより、DALI端子に誤って商用電源 (AC100V/200V等) が印加されることがあります。高品質なDALI機器は商用電源の誤接続に耐える保護設計がなされていますが、低品質品は破損します。なお、機器本体には誤配線耐性の有無は記載されていないため、施工時は細心の注意が必要です。
現場施工時のミスにより、DALI端子に誤って商用電源 (AC100V/200V等) が印加されることがあります。高品質なDALI機器は商用電源の誤接続に耐える保護設計がなされていますが、低品質品は破損します。なお、機器本体には誤配線耐性の有無は記載されていないため、施工時は細心の注意が必要です。
6. 安全性と電気的絶縁 (Safety & Isolation)
警告: DALI配線は商用電源と同等として扱ってください
- DALIは5芯ケーブル (L, N, PE, DA, DA等) の一部として一緒に配線することができます。
- DALI配線は商用電源に対して「基本絶縁 (BASIC isolation)」 (単層絶縁) のみ施されています。
- 多くの機器の端子やケーブルにおいて、商用電源とDALI間に安全上の十分な絶縁バリア (強化絶縁等) はありません。
- 感電・安全上のルール: DALI配線は、常に「強電 (商用電源)」と同じ安全基準・保護措置をもって取り扱ってください。
7. 通信の仕組み (Communication)
| 通信仕様 | 詳細 |
|---|---|
| アイドリング電圧 | DALIラインの通常時 (アイドル状態) 電圧: 9.5V~ 22.5V DC (標準は 15V または 16V DC)。 |
| 信号送信方式 | ライン電圧を「ローレベル (短絡状態: 4.5V 未満)」に引き下げることで通信します。DALI BUS側が流れる電流を自動制限するため、単純な短絡動作で通信が成立します。 |
| 符号化方式 | マンチェスター符号 (Manchester Coding / Bi-phase coding) を採用 |
| 通信速度 | 1,200 bps (bits / second) ・1ビットの周期: 833.3 us ・ハーフビット (半周期): 416.67 us |
【まとめ】 DALI基本理論のポイント
- DALIシステム概要: シンプルでオープンな照明制御用配線システム。
- 配線規格: 1.5 mm2 以上の単線ケーブルを使用。送り配線orスター配線(ループは禁止)。配線長は最大 300m。
- 容量制限: DALI BUSは最大 250mA。1ラインあたり制御ギアは最大 64台 (推奨50台まで)。
- 電源電圧: アイドル時 15V ~16V DC (許容 9.5V ~22.5V)。低速通信 (1,200bps) でラインをロー引き下げして通信。
- 安全管理: DALI配線は基本絶縁のみのため、必ず商用電源と同等 (強電扱い) として安全対策を行ってください。