(RAPIX DALI Training Course 3)
位相制御調光(位相・逆位相)の基本
テクニカルブログ「位相制御調光の基礎とDALIシステムでの制御方法」
位相制御調光(Phase Cut Dimming)
位相制御調光とは、商用交流(AC 100V 50Hz/60Hz)の正弦波(サイン波)の「一部を切断(カット)する」ことで、負荷に供給する平均電力(実効電圧 $V_{rms}$)を変化させて明るさを調整する調光方式です。
TRIAC(トライアック)素子を使用。ACサイン波のゼロクロス点(0V)から少し遅れて通電を開始(急激に立ち上がり)。白熱電球向け。LEDでは急な電流変化によりチラツキ・スパイク騒音の原因となる場合あり。
MOSFET / IGBT素子を使用。ゼロクロス点から通電を開始し、半周期の途中で遮断。波形立ち下がりが滑らかで突入電流やノイズが発生しにくく、LED照明・位相調光用電源に最適。
電源のON/OFFを1000Hz以上の超高速で切り替え、ON時間の割合(DUTY比)を制御。電流値(mA)を変えないため色温度変化が生じない方式。
2 リアルタイム 波形
方式を切り替え、調光レベルやカット位置、波形歪みを可視化します。
調光制御パラメータ & DALI レベル設定
人間の視覚特性(対数感度)& 明るさ感 (Perceived Brightness)
人間の眼は光の減少に対して対数的に順応します。公式: $\text{Perceived} = \sqrt{\text{Physical}} \times 100\%$。物理光量が10%(DALI ARC 170)まで落ちても、人間の眼にはまだ約31.6%の明るさに感じられます。
4 デッドバンド現象と DALI レベルスケーリング
現象: 位相器具のDead-bandとは?
白熱電球と異なり、LEDドライバー回路は内部マイコンや制御ICを駆動するための最低作動電力が必要です。
通電時間(伝導角)が一定以下になると電源が維持できなくなり、「DALIレベル170 (10%) で突然消灯する」「10%以下に絞っても明るさが変化しない」などのデッドバンド(不感帯)が発生します。
• 上限不感帯: DALI ARC 240 (85%) 以上で明るさが頭打ち
解決策: RAPIX DALI-2 位相制御のレベルスケーリング
RAPIX DALI-2位相調光コントローラーは、ハードウェアの最小・最大伝導角を内部マッピングするスケーリング機能を搭載。
DALI コマンドの 1 (0.1%) 〜 254 (100%) を、器具の有効動作範囲に設定することで、0.1%対応DALI電源と同期したスムーズな調光を実現します。
• デッドバンド完全除去により消灯までリニアに調光可能
DALI ARC レベル vs 物理光量 % 対照表 (DALI Standard Log Curve)
| DALI ARC Level | 1 | 86 | 111 | 145 | 170 | 196 | 229 | 254 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 物理光量 % | 0.1% | 1% | 2% | 5% | 10% | 20% | 50% | 100% |
| 人間の視覚感 % | 3.2% | 10.0% | 14.1% | 22.4% | 31.6% | 44.7% | 70.7% | 100.0% |
5 位相 (TRIAC) vs 逆位相 (MOSFET) vs PWM 調光の比較
| 比較項目 | 位相制御 (Leading Edge) |
逆位相制御 (Trailing Edge) |
PWM調光 (Pulse Width Modulation) |
|---|---|---|---|
| 使用パワー素子 | TRIAC(トライアック) | MOSFET / IGBT | スイッチング MOSFET |
| 波形切断タイミング | AC ゼロクロスから遅れてON(急起) | AC ゼロクロスからON・途中でOFF | DC電圧をパルス幅(Duty)制御 |
| LED適合性・ノイズ | 急激な電流で騒音・チラツキ有 | LEDに最適・低ノイズ | 理想的(定電流駆動) |
| 発光色の維持 | ドライバ回路依存 | ドライバ回路依存 | 色温度変化ゼロ |
| 施工性 | 2線式 | 2線式 | 4線式 |